イーサリアムの基本(7) ― スマートコントラクトとは?③

やあ、ハカセじゃ。

今回も、イーサリアム(Ethereum / ETH)のスマートコントラクトのプロジェクト例である Augur についての説明を続けていくことにしよう。

REP:Augurで使用される独自の仮想通貨(トークン)

先述したように、Augur のなかでは ETH ではなく REP という独自の仮想通貨が使われておる(ちなみに、REP の由来は Reputation、すなわち「評判」の意)。レポーターたちが正しい結果を報告することよって受け取ることができる報酬も REP で支払われるぞ。

トークンとは?

イーサリアムは独自の仮想通貨を比較的簡単に発行できる仕組みをもっており、イーサリアムのような既存のブロックチェーン上で発行される独自通貨は「トークン」と呼ばれておる。

ところで、そもそも Augur などのプロジェクトがトークンを発行するのは、運営資金を得られるという目的があるからじゃ。

トークンの利用が増えて発行したトークンの価値が上がり、仮想通貨の取引所で売買されるような存在にまでなると、発行したトークンを売却することによって運営資金を得ることができるの。

米国ドルや日本円などの法定通貨(フィアット通貨)は各国の中央銀行が発行し、皆が等しくその価値を認めるからこそ、決済に利用されたり貯蓄されたりする。仮想通貨も基本的な考え方は同じで、たくさんの人々がそのトークンの価値を認めれば認めるほどに売却したい人々や逆に購入したい人々が増えてくるから、そこで売却すると資金を得ることができるというわけじゃな。

Augurの処理を実現させているイーサリアムのスマートコントラクト

Augur は予測の提案から報酬の支払いまでの流れをイーサリアムのスマートコントラクトを利用して実現させておる。さまざまな条件を定義してやれば、Augur のような複雑な仕組みが実現できるというのもイーサリアムの大きな魅力のひとつじゃな。

ちょっと見方を変えれば、Augur の仕組みは保険システムにも応用が可能じゃ。保険商品にもさまざまな種頬があるが、シンプルな傷害保険や生命保険の例でいえば基本的には契約者が一定のあいだ保険料を支払い続け、事故や病気になった場合には保険金が支払われるという仕組みじゃな。反対に、何も生じなかったら保険金は支払われん。保険が「負の宝くじ」とか「不幸の宝くじ」などとも呼ばれる所以じゃの。

予測市場と保険市場の仕組みはなかなか似ておって、Augur に置き換えてみると、「契約者は事故や病気に備えて供託金を支払う」「予測に参加する」「保障期間中に病気や事故になったら保険金が支払われ、何も起こらなかったら支払われない」ということになろうかの。

このように、Augur を保険に応用できたならば保険料の値下げも期待できそうじゃ。一連の流れが自動化できて業務に関わるコストも劇的に削減できるから、保険料の価格破壊も期待できるかもしれんな。

事実、フランスの大手保険会社AXAは、イーサリアムのスマートコントラクトを使った航空便遅延保険「fizzy」を発表しておる。「スマート保険」などと呼ばれて一時話題になったから、憶えておる諸君もおるかもしれん。今はまだ限定的な提供じゃが、今後は世界的規模で旅行代理店や航空会社などと提携して提供する計画をしておるようじゃぞ。